厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部通知
新型コロナウイルス感染症患者等の移送及び搬送について 新型コロナウイルス感染症については、新型コロナウイルス感染症を指定感 染症として定める等の政令(令和2年政令第 11 号。以下「指定令」という。) が同年2月1日に施行されて以来、感染症の予防及び感染症の患者に対する医 療に関する法律(平成 10 年法律第 114 号。以下「法」という。)の規定につき 指定令により読み替えて準用することにより必要な対応を行っているところと 承知している。 今後、新型コロナウイルス感染症患者等の増加した場合においても当該患者 等の移送について円滑に進めるため、消防機関に移送協力を求める場合には、下 記の内容を十分御了知いただき、消防機関と事前に十分な協議を行った上で、関 係機関等への周知を図り、必要な事務を進めるようお願いしたい。 また、下記の内容については総務省消防庁と協議済みであることを申し添え る。
記
1. 法第 21 条の規定により、法第 19 条又は第 20 条に基づき入院する患者 等(法第8条第1項による「疑似症患者」及び同条第3項による「無症状病 原体保有者」を含む。以下同じ。)については、都道府県知事、保健所設置 市長又は特別区長(以下「都道府県知事等」という。)が感染症指定医療機 関等へ移送することが可能となっている。 この点につき、当省と協議の上総務省消防庁から、「新型コロナウイルス感 染症に係る消防機関における対応について」(令和2年2月4日付消防消第 26 号・消防救第 32 号消防庁消防・救急課長、救急企画室長通知、令和2年 5月 13 日一部改正。以下「2月4日通知」という。)が発出されており、そ の内容を御了知いただくとともに、都道府県知事等から消防機関に対して移 送協力の要請をするに当たっては、「エボラ出血熱患者の移送に係る保健所等 に対する消防機関の協力について」(平成 26 年 11 月 28 日付消防救第 198 号 消防庁救急企画室長通知)(以下「平成 26 年通知別紙」という。)に準じて、 感染症患者の移送について都道府県等と消防機関との間で協定等を締結して いる場合には、その内容に従って移送協力の要請を行い、協定等を締結して いない場合には、当該通知の別紙の1及び2の内容について十分に留意しつ つ、都道府県等が消防機関と事前に十分な協議を行った上で、移送協力の要 請をしていただきますようお願いする。 2. 他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いており、都道府県等 における保健所の移送にかかる対応能力が逼迫している地域、あるいは逼迫 するおそれのある地域においては、以下のような対応をすることも想定され るため、患者等の移送について、地域の実情を踏まえて、協定等の締結内容 が現状に合っていない場合など必要に応じ、上記1のとおり協定等を締結し ている都道府県等においては、消防機関と改めて協議した上で対応するこ と。また、協定等を締結していない場合にも、以下のような対応例も参考と し、早急に協議した上で対応すること。 また、その他の地域においても、感染が拡大した場合の取扱について、あ らかじめ、消防機関と協議し、定めておくこと。 なお、協議に当たっては、都道府県等においては、消防機関に必要な個人 防護具を提供することや必要な費用負担等も含め適切に調整をすること。 例l: 平成 26 年通知別紙の「2 消防機関が移送に協力を行う条件につい て」において、保健所等と消防機関による協定との中で、 ・ 保健所等は、その責任において移送車両に医師を同乗させること等に より、患者及び移送に当たる職員を医学的管理下に置いた上で移送を行 うこと。 等を可能な限り明らかにすることを求めているが、この点について、当該 地域の感染拡大の状況等に応じて、保健所等の対応能力の観点から、医師 の同乗等が行えないことが想定される地域においては、あらかじめ連絡体 制を確保の上、医師の同乗等を行わない対応も考えられる。 例2: 2月4日通知の記2(2)から(3)において、 ・救急要請時又は現場到着時に感染が疑われる場合(※)には直ちに保健 所等に対応を引き継ぐ 旨記載されているが、この点について、当該地域の感染拡大の状況等に応 じて、保健所等の対応能力の関係から、救急要請時又は現場到着時に保健 所等の職員が現着し対応を引き継ぐことができないことが想定される地域 においては、あらかじめ、移送の対象となる者の緊急性に応じて、保健所 等への連絡も併行しながら、移送を行う対応も考えられる。 (※)「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第 12 条第1項及び第 14 条第2項に基づく届出の基準等について」(令和2 年5月 13 日健感発 0513 第4号)別紙第7 指定感染症 1(4)ア からオまでのいずれかが確認された者を含む。 (参考) 「新型コロナウイルス感染症の患者数が大幅に増えたときに備えた入院医 療提供体制等の整備について」(令和2年3月 26 日付け事務連絡)におい て、県内の患者等の受入れを調整する機能を有する組織・部門(以下「都 道府県調整本部」というが、名称は各都道府県で適切に設定すること。)を 設置すること、新型コロナウイルス感染症患者の搬送調整の中心となる 「患者搬送コーディネーター」を配置すること等、地域で発生する救急患 者や重症者の受入れに支障を来さないよう、受入れの方針について地域全 体で事前に調整しておくこと等についてお願いをしているが、新型コロナ 疑い救急患者の受入れ先を速やかに調整するために、自宅等から 119 番通 報があった場合、又はかかりつけ医や帰国者・接触者相談センター、保健 所(都道府県が設置する保健所のみならず、保健所設置市等が設置する保 健所を含む。)などに救急相談等があった場合を想定して、都道府県調整本 部、保健所、救急医療機関、消防機関等との間で、具体的にどのような体 制で連絡、調整を行うのか等について、あらかじめ検討を行い、検討結果 については関係者間で広く共有すること(参考「新型コロナウイルス感染 症を疑う患者等に関する救急医療の実施について」(令和2年5月 13 日付 け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡))。 以上